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経営者保証改革プログラム


経営者保証とは、経営者が事業で借り受けた資金を経営者が保証するものであり、融資時の慣行となっている。当然ながら、企業が倒産すれば社長個人にも債務保証を追求され、自宅も売却、個人も破産し、最悪の場合は一家離散にも発展する。

我々は事業支援を行う者として「経営者保証問題」を最重要課題として、NPO首都圏事業支援機構の常任理事であった清水洋先生を中心に、政治団体の重鎮に本件問題の現状と解決策を熱く提唱してきた歴史がある。

2016年、中小企業庁により経営者ガイドラインが改正され、政府系金融機関を筆頭に、融資時または借り換えの際、経営者保証無しで融資が出来るよう変わってきた。

また第三者保証においては、金物屋さんが倒産し、隣の肉屋さんが保証しているため連鎖倒産したような事例は過去に多数起こっていた。今となっては2020年4月の民法改正により保証意思宣明公正証書を作成しなければならなくなった。

更に昨年の2022年12月23日に中小企業庁、金融庁、財務省が連携し、「経営者保証改革プログラム」が発表された。

今回は中小企業庁が金融庁、財務省との連携により、融資を受ける側と融資をする側の双方でコンセンサスをとっていこうという、かなり大きな本気度が見受けられる。

「経営者保証改革プログラム」は経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速させるため①スタートアップ・創業②民間融資③信用保証付融資④中小企業のガバナンスの4分野を重点的に取り組む指針で、策定・実行していくという。

要約すると

①スタートアップ・創業においては創業から5年以内の融資は経営者保証を徴求しない。

②民間の金融機関は、不動産や個人資産を担保に依存せず、今まで慣行として行われた経営者保証行為を安易に行うのではなく、企業の事業性に着目した融資にしていく。

また、なぜ保証契約が必要になるか?どうすれば保証が不要となるのか?等の説明義務と記録、そして2023年9月より実績分を金融庁に報告しなければならない。

③信用保証付融資は、経営者保証に関するガイドラインの要件である(a)法人・個人の資産分離(b)財務基盤の強化(c)経営の透明性、の確保が満たされていれば保証を解除する。仮に3つの要件が確保されてなくても保証料の上乗せや流動資産を担保することによって経営者が選択することができる。

また民間金融機関のプロパー融資においては、取り組みの浸透化を目的にプロパー借換保証を時限的に行う。

④中小企業のガバナンスは、中小企業の収益力改善やガバナンス体制整備の支援を、認定支援機関や中小企業活性化協会による機能強化を行い、官民による支援体制を構築していく

ということだ。

本プログラムを実施していく上で、今まで担保や保証制度に依存していた民間金融機関にとっては、今まで以上に事業性を重視して審査する機能や人材育成をしていかなければならない。そもそも金融機関が事業性を見ることが出来ないのであれば本末転倒ではあるが。

また「本気で事業意欲のある経営者」を判断できなければ、スタートアップ時などに悪用される可能性もある。

様々なリスクは想定されるが、リスクよりも日本経済の活性化と健全で明るい未来への改革の第一歩として動いたことは大きな飛躍である。


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